住まいの買い替えの成否は資産計画が鍵
住まいの買い替えをする際は、売却と購入を同時並行していく必要があります。資産計画をしていないと買い替え自体がとん挫してしまう可能性があります。
資産計画が必要な理由
住まいの買い替えでは、購入済みの家と住み替える新居を購入するので一時的に二つの住まいをコントロールしなくてはなりません。
ここで大切なのは、「売却時期」と「購入時期」、そしてそれぞれの「価格」です。資金に余裕があれば好きな時期に適当な価格で取引を行っても大丈夫です。しかし、不動産は単価が大きいため多くの人が資産の大半を投じて住み替えを行います。この時に「売却時期」と「購入時期」が大きくずれると資金不足を起こしてしまいます。
不動産はいつ、いくらで売れるかわかりません。不確定の中で買い替えのための資金を予測する必要があります。予測ができていないと新居が購入できず、買い替えが失敗で終わってしまうことになります。いろんな可能性を考えた資金計画を求められます。
資金計画で重要なポイント
資金計画を立てる上で重要になる四つのポイントを挙げます。住まいの買い換えでは、以下の事柄を考えて把握しておきましょう。
1. 売却見込額の設定
自宅がいくらで売れるのかは、予測が難しいものです。買い換え計画が現実的なものであるなら、不動産会社に訪問査定してもらうことで精度の高い価格が出ます。まだ買い換えを決め切れていない状態なら、不動産情報サイトで検索して、近隣の同種物件の相場を調べるか、同様のサイトの「無料査定」サービスを利用するといいでしょう。
ポイントは、希望的観測で高めの価格を見積もりしないことです。もしも売却がスムーズに進まないときには、値下げをすることがありますから、購入予定価格と合わせて資金計画が破たんしないような価格を設定しましょう。
2. 住宅ローン残債の完済
住宅ローンの支払いが残っている持ち家を売却する場合は、必ずローン残債を完済して抵当権抹消の手続きをしなければなりません。まずは、住宅ローン残高の正確な金額を把握しておきましょう。「住宅ローン残債+新居購入の頭金+売却・購入諸費用」を売却金額よりも小さくすることが、住み替えを成功させるポイントです。
3. 自己資金額
買い換えの自己資金(預貯金額)は、いくらまで用意できるのかを把握しておきましょう。仮に売却金額が予想値を下回り、ローン完済の資金が不足してしまったときは、自己資金で不足分を補う必要があるからです
4. 売却時・購入時にかかる諸費用
自宅を売却するとき、購入するときはそれぞれ諸費用がかかります。これら現金での用意が必要になりますから、項目にもれがないように必要な金額を準備しておきましょう。主な費用項目を挙げます。
売却時にかかる諸費用
仲介手数料 | 売却時に媒介契約を結んだ不動産会社に支払う |
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印紙税 | 売買契約書に必要金額分を貼付 |
不用品の処分費用 | 売却に際して発生した廃棄物品の処分費用 |
登録免許税 | 抵当権抹消登記費用 ※ローン残債がある場合 |
譲渡所得への課税 | ※売却益が出た場合 |
繰上げ返済手数料など | ※売却益が出た場合 |
購入時にかかる諸費用
仲介手数料 | 取引態様が媒介の場合に不動産会社に支払う |
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印紙税 | 売買契約書に必要金額分を貼付 |
登録免許税 | 所有権移転登記・抵当権設定登記 |
不動産取得税 | 不動産取得した方に対して課される税金 |
住宅ローン諸費用など | 融資手数料、ローン保証料、保険料等 |
上記のうち、特に仲介手数料は物件の価格に応じて変動しますが、100万円単位の高額にもなります。トータルでは決して低い金額ではありませんから、資金が不足しないよう計画を立ててみてください。